2014年7月26日土曜日

2-2 ダイヤモンド①

 

今日の宝石取り扱い率の80%をダイヤモンドが占めています。
その要因はブリリアント・カットの発明、近代的な発掘方法を可能にしたキンバーライトの発見
およびダイヤモンド特有の販売機構の創立です。
ダイヤモンドは一体どのような性質をもち、どのように作られ、どのように流通しているのでしょうか。

①ダイヤモンドの成因と合成方法

同じ炭素でできていてもダイヤモンドとグラファイトでは結晶構造が違います。
これは安定に存在しうる条件が異なることを意味しています。
ダイヤモンドは高い圧力、高い温度下で、グラファイトは低い圧力、高い温度下で安定な鉱物です。
 地球の中でダイヤモンドができる場所も同様で高温高圧の地球深部ということになります。
 これは地下100~120kmよりも深いマントル層に相当します。
そんな深いところは掘れないので、地質学的な運動で地表まで上昇しなければダイヤモンドを手に入れることはできません。
また、ダイヤモンドがグラファイトに変化することなく、手に入れるためには、圧力はそのままで温度だけ下げるか、
温度と圧力を同時に急速に下げるかする必要があります。
ダイヤモンドからグラファイトに変化する速度は高温では速く低温では遅いためです。
地表までの上昇速度は時速100kmを必要とします。
この上昇運動がある地帯は大陸楯状地帯と呼ばれる特定の場所に限定されます。

 ダイヤモンドの合成方法の王道は、高温・高圧下に炭素をさらすことです。
炭素を溶媒に溶かし、溶液を作って結晶を成長させます。

 

②ダイヤモンドの研磨方法

ダイヤモンドの結晶の中には硬い方向と柔らかい方向(グレイン方向)があります。
原石の形状にかかわらず、石の内部で最も柔らかい六面体面は最も一般的にソーイング(切ること)に利用される面であり、次に柔らかい十二面体面は最も一般的に研磨に利用される面です。
正六面体

※動画はウィキペディアより


③放射能照射での着色

ダイヤモンドの結晶は炭素原子だけでできています。
炭素原子同士は共有結合で結ばれており、最も強固な結合です。
結晶が完全無欠で、電子が全て結合に寄与しているとすれば、光エネルギーを吸収する役割を果たす電子はないことになり、無色透明になります。
放射能を照射すると、強いエネルギーをもった粒子線が結晶に当たることにより結晶格子が狂います。
激しい勢いで粒子線が結晶構造に当たると、構造の中の原子が跳ね飛ばされて抜け孔を
作ったり、正規の位置からずれた位置に原子を作るからです。
その周りでは電子の存在状態が変化し、可視光を吸収するようになります。
このように、ダイヤモンドを原子炉や中性子炉で処理したり、高速電子線を当てたりすると着色します。



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