⑤自色鉱物と他色鉱物
自色鉱物とは構成元素によって着色している鉱物のことです。色のバライティは狭いです。
他色鉱物とは不純物元素によって着色している鉱物のことです。
広い色のバライティを持ちます。
⑥光は電磁波
光は電磁波という波です。電磁波には波長によってγ線、X線、紫外線、赤外線・・・・と名前がつけれれています。
人の目で感じ取れる波長は可視光線(400nm ~ 700nm)であり、宝石の色に関係してくる電磁波です。
可視光には紫から赤色まで様々な色があり、各色によって波長、屈折率が異なります。
すべての色が混ざると白色光になるが、この白色光を波長ごとに分離したものを「スペクトルspectrum」といいます。
ある色の光が選択的に吸収されると、他の色の光が反射または透過し色となって見えます。
遷移元素の電子は不対電子という不安定な電子が存在しています。不安定なので可視光程度のエネルギーで状態を変えることができます。
ある波長の光の持つエネルギーに相当すると吸収が起こり、遷移元素の色の原因となります。
遷移元素だけではなく、結晶格子に点状の欠陥があったり、電荷移動する場合でも、不対電子の場合と同様、電子が色を吸収する役割を果たしています。
⑦遷移元素の電子構造
原子は原子核とそれをとりまくいくつかの軌道にある電子(核外電子)とでできています。電子は基本的にエネルギー準位の低い内側の殻から順に入っていく(典型元素)のだが、
電子の軌道の関係で外側の殻の軌道の方がエネルギー準位が低く、先に電子が入る元素があります。
つまり、外側に電子で満たされた軌道を持ち、その内側は電子で満たされていない軌道があるような元素です。
この元素を遷移元素と呼びます。

※クロム原子の電子配置
⑧宝石の一次鉱床と二次鉱床の関係
有用な鉱物が採掘経費に見合うだけ集中して産出する場所を鉱床(ore deposits)といいます。原岩とともに宝石鉱物が産出する一次鉱床と、
風化、浸食、運搬、堆積などの過程を経てできた二次鉱床があります。
ダイヤモンドは紀元前4世紀インドで発見されたが、漂砂鉱床中でしか見つかっていませんでした。
その後19世紀半ば南アフリカのキンバレーでダイヤモンドの原岩であるキンバーライトが発見されるまで、ずっと漂砂鉱床にしかないものと考えられていました。
⑨メルト相および溶液相
●メルト相
大型の単結晶を効率よく育成するためには、純粋な材料を溶融し、それを冷却固化する方法が適しています。この方法をメルト相からの単結晶育成法といいます。
溶融した純粋な材料をメルトといい、種子結晶の基盤の上に堆積させたり、逆に種子結晶をメルトの表面に接触させたりすることで、種子結晶方向に従った単結晶化を図る方法です。
この方法は大型の単結晶を大量生産するのに適しています。
しかし工業的用途でない合成石や人工石の育成では、イミテーションの印象を与え、天然宝石との峻別が要請されます。
メルト相で育成すると、気泡が存在したり、円筒状のプールの形になったりと、特徴が違ってくるため両者の識別は困難ではありません。
●溶液相
溶媒に溶質を混ぜ、溶液を蒸発、除冷し結晶を作る方法を溶液相といいます。溶媒と溶質の相互作用により、溶液は融点が下がるため、メルト相の時よりも低い温度で結晶を育成することができるようになります。
また、天然の結晶により近い形をとり、天然宝石との識別もずっと難しくなります。
メルト相と比べ、手間ひまがかかります。
⑩単結晶、多結晶、非晶質の宝石
単結晶:ダイヤモンド 水晶多結晶:めのう ひすい ラビスラズリ
非結晶:オパール オプシティアン
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