2014年7月24日木曜日

2-1 宝石の基礎知識②

②宝石の比重

「比重」とは物質の重量と同体積の水の重量との比のことです。
比重の測定方法には大きく分けて二つあります。

●静水重量法

時間と熟練を要するため、宝石の測定方法では実用的ではないです。
1.通常の状態で重量を測定。これを「空気中重量」とします。
2.水中で重量を測定。これを「水中重量」とします。
3.以下の計算で比重を求めます。
 比重=空気中の重量 / (空気中重量 - 水中重量) 

●重液法

測定自体は迅速ですが、重液の管理が大変です。
1.いくつかの異なる比重値を持つ重液を用意します。
2.試料がある液体に沈めば、その試料の比重は、その液体の比重に大きく、
  浮き上がれば小さく、釣り合えば等しいということになります。

③宝石の硬度

モース硬度は互いをこすり合わせた時、傷がつくかつかないかの順番であり、これを引っかき硬度といいます。
引っかき硬度は原子の結合がどの程度強いかによって決まるので、結晶の方向性によって異なります。
結晶の方向性には対称性もあるので、硬度もまた対称性に従います。
結晶の結合が弱い部分は対称性に従って分布します。
結晶内の弱い部分で明確な方向に沿って割れることを「劈開deavage」といいます。
劈開の方向は結晶の対称により吸う方向あります。
ダイヤモンドが研磨できるのは劈開性のおかげです。
宝石にとって劈開は加工ー特に研磨や石留ーの際に注意すべき性質であるが、日常の取り扱いにも注意が必要です。

④光の干渉・回折・散乱

一つの光が二つに分かれ、のちに重なりある現象には、宝石に関しては2種類あります。

●干渉

薄膜による現象。
屈折率の違う物質の薄い膜があると、入射した光の一部は反射し、一部は屈折して膜の反対側で反射して戻ってきます。
このうち屈折、反射する光は、単に反射した光よりも長い距離を進みます。
したがって、その分遅れが生じます。その遅れが位相の違いとなります。
位相の違いが波長分であれば、この二つの光は強めあいます。
様々な色を持つ白色光が入射した場合、見る方向によって様々な色が見えます。
アイリス・クォーツやラブラドライトに見られる色はこの干渉によって生じます。
※ラブラドライト

●回折

3次元に広がる規則正しい配列の球がある時に生じます。
原理は干渉と同じです。
オパールは回折によって様々な色を生じています。
オパール


宝石に関する限り、これら干渉と回折はまとめて「イリデッセンスiridescence」と呼びます。



●散乱

光が微細な粒子の集合体によって乱反射されることが「散乱」です。
粒子の直径が光線の波長よりも小さければ、光は乱れた界面に当たることになるので乱反射し反射光は拡散します。
ムーンストーンの青色はこの散乱によって生じます。



画像はウィキペディアより

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