1-4 宝石のグレーディングの意味と限界
①グレーディング・レポートとは
決められた検査項目について調査し、一定の判断を下し、それを報告書としたものです。。したがって、品質の一部の目安であり、石のだいたいの特徴が分かるため、とても便利なものです。
②日本におけるグレーディング・レポートの誕生
日本では明治から昭和の前半まで広く使用された品質表示はなく、最優秀・上・中・下といった用語が一般的でした。日本で初めてグレーディング・レポートができたのは1946年(昭和21年)です。
進駐軍が戦時中に国民から買い上げたダイヤモンドの整理を4人の日本人
(久米武夫 松井栄一 城谷三郎 巽忠春)とアメリカ国立スミソニアン博物館の2人
(ヘンダーソン ホーシャック)に依頼しました。
このときのグレーディングは、カラー、クラリティともにABCDEの各5段階表示によって行われました。
③グレーディング・レポートの利用法
・ダイヤモンドに品質の相違や特徴が分かりやすく説明する際に利用します。それにより消費者が不当に高い価格でダイヤモンドを買わされるのを防ぐことができます。
・業者間で共通の用語で商談できるので、現物を提示せずに事前にある程度の商談を行う際に利用します。
・海外の価格情報を参照する際にも利用できます。
分かりやすく便利であり、他業界からの新規参入も容易になりました。
④グレーディングと価格との関係
グレーディングと価格との関係は、メーカーおよび小売店それぞれの会社で異なっており一様ではないです。まず、シェイプ、サイズ、カット、グレード別の表を作り、横縦の項目にカラーとクラリティを左からと上から、上位グレードから下位グレードへと記入して、価格指数を記載します。
最後にその時のダイヤモンド価格市場により、調整します。
⑤代表的なグレーディング・システム
グレーディングは世界的に統一されているわけではない。代表的なシステムはGIA(Gemological Institute of America(1953年))
HRD(Diamond High Council(1976年))
CIBJO(Confederaction International de La Bijouterie Joaillerie, Orfevrerie(1976年))
SCAN(Scandinavian Diamond Nomenclature(1969年))
がある。
カラットの小数点切り捨て、切り上げの違い、マスターストーンの違い、等級の名称違いなどがあります。
⑥グレーディング・レポートを利用するときの留意点
当初、教育目的としてスタートしたグレーディング・システムは、4Cとそのほかのいくつかの要素のみで等級付けするため、ダイヤモンドの資質の完全な検査報告とは言えません。
また、天然の鉱物結晶は同じものがないので、グレーディング結果が同一であっても、
個々のダイヤモンドには微妙な差異があることを知っておかなければなりません。
ダイヤモンドの美しさは、見る人それぞれの審美眼、価値基準によって判断されるべきで
グレーディング・レポートはその目安として使われるものなのです。
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